管理栄養士が教える「痛風予防の食事療法」

痛風といえば、どのような症状を思い浮かべるでしょうか。

  • 足の親指の付け根あたりが痛い
  • 暴飲暴食の翌朝には足の関節に激しい痛みが出る
  • 高尿酸血症と言われ、放置していたら関節が痛み出した

このような症状が出てきた場合は、「痛風発作」の可能性が非常に高いです。
痛風は激痛を伴うため、発症する前に予防したいところです。

そこで、痛風の原因についてはもちろん、予防にうってつけの食事についても解説していくので参考にしてみてください。

目次

痛風の原因

ビールの写真

そもそも痛風とは、どのような症状なのかについてまとめていきます。

具体的に説明すると、血液中の尿酸値が高い状態が続くことにより「関節に尿酸の結晶がたまり、激しい炎症が起きる状態」となります。

ほとんどの場合は足の親指の付け根に痛みが起こり、「痛風」という呼び方のとおり「風が吹くだけでも痛い」と言われるくらいの激しい痛みが伴います。

足の親指の付け根以外にも、足の甲や足首・手首、アキレス腱付近、ひざやひじ、指の関節など、主に関節に症状が出ることが特徴です。

この痛風は、男性を中心に30代から発症しやすくなります。次に40代・50代というような患者の割合となっています。

30歳以上の男性で有病率は1%とされており、発症している人数はおよそ「100人に1人」と言われています。
そのため、誰でも発症の可能性があっても不思議ではない病気なのです。

発症原因である尿酸は「プリン体」が代謝されることで発生します。プリン体は運動や臓器が働く時のエネルギー代謝に使われ、体内で常に作られているものです。

作られたプリン体は主に肝臓で代謝された後、尿酸になります。しかし、うまく排泄されないなどの理由から尿酸が血液中に多い状態が続くと、関節にも尿酸が溜まってしまい、痛風の発症へとつながるというわけです。

つまり痛風になりやすい人は、普段から血液中の尿酸値が高いということが分かります。

尿酸値が7.0mg/dl以上の方は「高尿酸血症」と定義されており、数値が高いほど痛風にもなりやすいということです。

痛風予防のポイント

ジョギングしている写真

尿酸値が高くなりやすいのは、実は遺伝も関係しています。
しかし主には、以下のような生活習慣が原因となります。

  • お酒の飲み過ぎ
  • カロリーの過剰摂取
  • プリン体が多い食品の食べ過ぎ
  • 運動不足

上記に心当たりがある方は、生活習慣を見直してみることをおすすめします。

今現在、痛風の症状があったり過去に起こしたりした方も、生活習慣を見直すことが非常に大切なのです。再発防止のためにも健康的な生活習慣を心がけましょう。

もし痛風によって通院をしている場合は、医師の指示に従い治療などを行ってください。

高尿酸血症時の食事と痛風になりにくくする食事

ここからは、痛風予防が期待できる食事療法について解説していきます。

まずは基本ですが、プリン体の多い食品を控えることです。プリン体の1日あたりの摂取量は、400mg程度が推奨されています。

ほとんどの食事にはプリン体が含まれるため、完全に摂取しないということは不可能です。

しかし食べ物によって含まれる量は変わるので、摂りすぎには要注意。

下記でご紹介する食べ物には多くのプリン体が含まれているので、参考にしてみてください。

極めて多い

  • レバー類(鶏レバー・豚レバーなど):100gあたり約300mg以上
  • 白子(たら・ふぐなど):100gあたり約300mg以上

多い

  • 赤身の魚(マイワシ・カツオ・太刀魚):100gあたり約200mg~300mg
  • エビ類(大正エビ・オキアミ):約100mg~200mg
  • アルコール類(ビールなど):500mlあたり50mg

アルコールは意外とプリン体が少ないように思えますが、尿酸の排出を妨げてしまう作用があります。ビールを含めて、アルコールの飲み過ぎは禁物です。

プリン体の80%~90%は体内で作られています。
そのため食事で摂取するプリン体は10~20%ほどしかないのです。

このことから尿酸値を上げないためには、食事に気をつかうことも大切ですが、何よりも日常生活の見直しと運動不足の解消などのほうがより重要と言えるでしょう。

ここからは、逆に尿酸値を下げてくれる食べ物をご紹介します。

腎臓から尿酸をたくさん排泄させるには、水分を多く摂取する必要があります。
しかしその際、尿をアルカリ性に近づけることが重要。酸性だと尿酸が溶けにくく、排泄がうまくいかないのです。

尿をアルカリ性に近づけてくれる食材は、野菜や海藻、いも類、きのこ類です。

そして果物はバナナがお勧め。
尿酸値だけでなく血圧も下げる効果があるので、食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

また乳製品もアルカリ性で、カゼインとホエーたんぱく質が尿酸の排出を促してくれます。

前述の通り、尿酸は尿によって排泄されるため、水分をしっかりとって体内から排出しましょう。
心臓や腎臓が悪いため水分制限をしている場合は別ですが、1日2Lを目安に水分摂取をするのがおすすめです。

そして大切なのが、ジュースや加工飲料で水分を補わないこと。
血糖値が上がり動脈硬化がすすむだけでなく、かえって血液中の尿酸値も上がりやすくなってしまいます。

水分を取るなら、お茶やお水など糖類を含まないものにしましょう。

まとめると、プリン体を多く含む食事を控えて水分をしっかりと摂取し、適度な運動を習慣化することが大切です。

生活習慣を整えて、ストレスや睡眠不足も改善していきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

田中 稔也のアバター 田中 稔也 管理栄養士

国家資格
管理栄養士・調理師
その他資格
糖尿病療養指導士・食育指導士

経歴
公益社団法人福岡県栄養士会筑後支部 山門分会長 (任期:2007年~2009年)

メディア出演
FMたんとにてラジオ番組放送中79.3MHz (毎週水曜12:27~)

高校卒業後、料理人を志し地元の和食店にて修行。栄養学に興味を持ち始め平岡栄養士専門学校へ入学。調理師、栄養士免許取得後、特別養護老人ホームの調理現場責任者に従事。2年の現場経験の後、独学で管理栄養士国家試験を受験し一発合格。その後、内科専門病院にて病棟担当の管理栄養士として糖尿病を主とした生活習慣病患者の栄養指導を毎月100件以上行い糖尿病療養指導士取得。院内ではNSTチームメンバーとして活動。2006年〜2008年、福岡県筑後地区栄養士会分会長就任。任期満了後、退任。
現在は健康食に特化した配食事業の会社を2010年から経営。地域の皆さまへ「本当に安心・安全な食を提供し、健康で豊かな生活を送るお手伝いをしたい」との想いで日々仕事に励んでいます。
また、これまでの経験を活かし管理栄養士として、食に関連した生活習慣病の改善、美容、ダイエット等の健康情報を発信をしています。 

目次