いまや国民食となったラーメン。味噌・塩・醤油ベースや九州地方では豚骨と、日本国内で独自の進化を遂げた食事の筆頭ですね。
なんとなく、「健康にはあまり良くないとわかっていながら食べてしまう」人が大半なのではないでしょうか。加齢が進むほどに、ラーメンに含まれる「塩分」が高血圧や肥満の原因として、健康に影響が出てくることから節制の対象にもなっています。今回は、その塩分について、さらに塩分を効率的に排出してくれる「カリウム」の効果と合わせて説明していきます。
先に言っておきますが、食べることが絶対悪なのではなく、あくまで食べ過ぎやスープを飲み干すような食べ方は避けましょう、ということです。
意外と低いラーメンのカロリー。しかしスープの塩分がネックに

ラーメンが身体に与える影響についてですが、栄養価やカロリーを正確に把握するのは難しいですよね。そのため、つい気軽に食べてしまうことがあるでしょう。
日本各地のご当地ラーメンも含め、ラーメンの塩分量は一律ではありませんが、一般的に醤油、塩、味噌ラーメンは1杯あたり500〜800Kcalとされています。「おや?」と思うかもしれませんが、成人男性の1日の摂取カロリーは約2200Kcal(農林水産省のページより)なので、1食としてはそれほど多くない印象です。
ただし、ラーメンはどの種類も1杯あたり5g以上の塩分を含むことが多いです。1日の塩分摂取目安は男性で7.5g、女性で6.5g(厚生労働省ホームページより)ですので、1食あたり約2gの塩分摂取が理想的です。これを考えると、ラーメン1杯でほぼ1日分の塩分を摂取してしまうことになります。
このため、塩分を控えるように工夫すれば、毎日ラーメンを食べることも一概に悪いとは言えないかもしれません。しかし、毎日3食のうち1食をラーメンにすることは、栄養バランスが偏り、他の栄養素が不足する可能性が高いので現実的ではありません。
溜め込んでしまった塩分を排出するにはカリウムを摂取

大好きなラーメンをどうしても食べたい! となった場合、できるだけ身体に悪い影響を出さないような食べ方はできないの? と思う方も多いでしょう。
ラーメンは炭水化物の麺と塩分が多いスープ、そして少量のトッピングから成り立ちます。カロリー的には問題ないかもしれませんが、栄養素が偏っています。そこで、野菜系のトッピングを追加してみましょう。
例えば、もやしやネギ、きくらげは食物繊維やミネラルを摂取するのに適しています。煮玉子やチャーシューもタンパク質を補うことができますが、濃い味付けが多いので適量に抑えましょう。
さらに、野菜には「カリウム」が含まれており、塩分の排出を助ける効果があります。野菜以外にも果物や海藻にもカリウムが含まれているので、これらを副菜として取り入れるのも良いでしょう。
特に豚骨ラーメンは、スープに脂質が多く含まれており、さらに替え玉をすることで炭水化物と塩分の摂取量が増える傾向にあります。飲み会のシメに食べることが多いですが、スープを飲まずに野菜をトッピングしてバランスを取ることを心がけましょう。
カリウムが含まれる食物と効果的な調理法とは

塩分を排出してくれる「カリウム」ですが、どの程度摂取すれば良いのか、またどんな食物に多く含まれるのか、そして効果的な摂取方法について説明していきます。
まずどれくらい摂取すれば良いかについて。厚生労働省が定める理想的な摂取量は1日3500mg。といわれてもまったく見当がつかないと思います。
しかし統計的には、日本国内における50歳男性の平均値をみると、おおよそ2500mgは日常の食事から摂取できているデータがあります。それほどに様々な食物に含まれていることがわかりますね。
野菜・海藻・果物など日頃食卓に並ぶ食物の多くに含まれており、より意識したい場合には、「どんな食物に含まれているのだろう?」ということですよね。
カリウムは、3500mg/日として推奨摂取量が定められていますが、もともと塩分が多い日本人の食事には重要な栄養素であることがわかってきました。血管を拡張する効果もあることから脳卒中や血圧に関する様々な症状、そして骨粗鬆症などの予防に効果があるとされています。
前置きが長くなりましたが、どんな食物にどれくらいカリウムが含まれているのかはコチラ。
バナナ(1本) 450mg
レタス(1玉) 700mg
ほうれん草(80g) 552mg
じゃがいも(50g) 205mg
わかめ(3g) 156mg
納豆(1パック50g) 330mg
アボカド(1個170g) 720mg
りんご(1個300g) 330mg
数値をみると、「よく食べる食物にこんなに含まれているんだ!」という感じがしませんか? ただカリウムは水溶性であるため、煮たり茹でたりすると溶け出してしまうために、摂取量が減ってしまいます。逆に腎臓疾患などカリウムをできるだけ摂取しないように茹で汁を捨てることもあります。
カリウムを減らさずに摂取する料理法として、
- 焼く
- 蒸す
- レンジ加熱
- 切らないで皮付きのまま茹でる
などが挙げられます。
まとめ
かくいう私も実は私はラーメンが大好きで、特に週末には友人とラーメン店を巡るのが楽しみの一つです。しかし、職業柄管理栄養士ということもあり、特に健康に気を使う年齢になってからは、ラーメンを食べる際の工夫を意識するようになりました。
例えば、最近では野菜たっぷりのトッピングを選ぶようにしています。もやしやネギ、ほうれん草などを追加することで、食物繊維やミネラルを摂取できるだけでなく、カリウムを多く含むこれらの野菜が塩分の排出を助けてくれます。特にカリウムが豊富な食材は、ラーメンの高い塩分を少しでも和らげるのに役立ちますので、意識して取り入れるようにしています。
また、スープを飲み干さないことも心がけています。以前はラーメンのスープを最後まで飲むのが当たり前でしたが、スープには多くの塩分が含まれているため、健康を考えて飲み干さないようにしています。どうしてもスープの味を楽しみたい場合は、少量を味わうだけに留めるようにしています。
さらに、ラーメンを食べた後は、カリウムを多く含む果物や野菜を摂取するようにしています。例えば、バナナやりんご、アボカドなどを食べることで、塩分の排出を促してくれます。これらの果物は手軽に取り入れられるので、ラーメンの後のデザートとしても最適です。
意識してカリウムを摂るぞ! とはなりづらい栄養素ではありますが、塩分の多いラーメンを食べたくなったら、カリウムを含む食材のことを思い出しできるだけ野菜をトッピング、かつスープは全部飲まないように心がけましょう。
このように、私自身もラーメンを楽しみながらも健康を意識することで、罪悪感なく美味しく食べ続けることができています。ラーメン好きの方々にもぜひ試していただきたい工夫です。