すっかり秋めいてきましたね。
朝晩の冷え込みと夏の疲れが重なり多くの方が体調を崩しやすいタイミングでもあります。
服装が夏のままだったり食事も冷たいメニューが多いままだったり、と切り替えが必要ですので早めのシフトチェンジをしていくことが健康を保つ秘訣となります。
そこで、今回は「食物繊維」についてお話します。
食物繊維といえば、整腸作用によりお腹の調子を整える食品成分ですが、その種類や効果、食物繊維が多く含まれる食物など、あらためてチェックしていきましょう。
今の日本人の食生活では足りないとされている食物繊維、どのようにして私たちの健康に関わっているのでしょうか?
そもそも食物繊維とは?日本人にはどれくらい足りていないの?
なんとなく「食物繊維」という言葉を聞いて、「身体によさそう」「スーパーでその表記を見ると買いたくなる」と、好意的に捉えている人が多いでしょう。
食物繊維は「人の消化酵素で分解されない食物成分の総称」と定義されており、炭水化物・タンパク質・脂質などは、腸の消化酵素で分解され栄養素が身体に吸収されるということですね。
食物繊維は、小腸で吸収されずに大腸に辿り着くと整腸作用など多くの役割を果たします。
これが少なくなると腸の働きが悪くなります。
では、私たち日本人が1日にどれくらい摂取すれば良いか、ということについて。
目標摂取量が、男性20g以上、女性18g以上(18~69歳・厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」)と定められていますが、さらなる調べによると、実際の食生活では14g程度と慢性的に不足しているデータが明らかになりました。
基準となる摂取量は決まっていますが、大事なのは実際の健康状態の方ですよね。
「1日1回、規則的に排便がある」ことが目安となっており、これよりも少ないと便秘状態ということで、みなさんの健康状態がわかりますね。
食物繊維は、そのものが便の体積を増やす役割をしていて、さらに大腸内の腸内細菌を増やすことで整腸作用があるとされています。
そもそも足りない状態は便の量も足りなくなってしまうということですね。
食物繊維は、脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して体外に排出する作用もあり、余計な栄養素の吸収を防いでくれる役割も担っています。
ただお腹の調子を整えてくれるだけではない、ということですね。
また、ひと言に食物繊維といっても多くの種類が存在します。
どのような種類が存在し、効果的な摂取方法についても説明していきます。
食物繊維にはどんな種類があるの?
食物繊維には、不溶性と水溶性に大別することができ、簡単にいうと水に溶けるかそうでないか、です。
「不溶性食物繊維」はセルロース・キトサン・リグニンなど。
「水溶性食物繊維」はペクチン・アルギン酸・カラギーナン・ポリデキストロース・グルコマンナンなどが挙げられます。
「繊維」という名称から筋状の物質を思い浮かべるかもしれませんが、水に溶けるとネバネバとした状態になるものや、目視では確認できないほどにサラサラとしたものもあります。
清涼飲料水に食物繊維の成分が含まれている商品が存在しますが、この場合、後者ということですね。
と、名称をつらつらと書き連ねたところで、気になるのはどんな食べ物に食物繊維が含まれているかですよね。
まず肉や魚などの動物性食品にはほぼ含まれず、植物性食品に含まれるということ。
穀類・豆・野菜・果物・きのこ・海藻に含まれることが多く、特にごぼうやカボチャなど根菜類には多く含まれるイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?
ごはんを抜いて肉類多めの炭水化物抜きダイエットなどをすると食物繊維の摂取が減り、腸の働きを阻害する可能性が出てきます。
しかし、これだけ日本食を中心としている私たちの食物繊維が足りていないとはどういうことなのでしょうか?
それは1950年代にまでさかのぼります。
当時から徐々に肉類や乳製品が食卓に並ぶようになり、芋類や豆類そして穀類の摂取量が減ってきていることが原因となっています。
日本人の食事が欧米化してきたことが大きな要因となっていることがわかります。
さらに白米が当たり前の現代ですが、当時は精米する前の玄米を多く食していたことも食物繊維が足りていた要因の一つです。
いま玄米というフレーズが登場しましたが、3食のうち1食を白米から玄米に置き換えることで、1食あたり約1.5g、3食とも玄米ごはんとすることで約5gも食物繊維の摂取を増やすことができます。
パン食の人もできるだけ副菜に野菜や海藻をつけるように心がけましょう。
食物繊維は腸内でどんなはたらきをしている?
食物繊維は、水溶性と不溶性があると説明しましたが、特に水溶性のものから説明していきます。
「水溶性食物繊維」は、水分に溶けゼリー状になります。
小腸では栄養の吸収をゆるやかにし、血糖値の上昇を抑えてくれる役割があります。
またコレステロールやナトリウムを吸着し、体外に排出してくれることで余計な栄養素の吸収を抑えてくれます。
自ら膨らむことで満腹感を持続させ、さらにみずから善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌など)のエサとなり腸内環境を整える働きを見せます。
水溶性食物繊維は、めかぶやもずくなどの海藻類や納豆、オクラなど見るからにネバネバとした食品に含まれています。
先ほど少し話に出てきたごぼうやカボチャといった根菜類ですが、こちらは水に溶けない「不溶性食物繊維」が含まれており、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進し、お通じに効果があります。
腸内で余計な栄養素の吸収をおさえることで、糖尿病、高血圧、動脈硬化など生活習慣病の予防に効果がある食物繊維。
体内に栄養として吸収されることはありませんが、五大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル)に次ぐ、第6の栄養素とも言われている大事な食品成分であることがあらためて理解できたかと思います。
食物繊維を腸まで届かせることによって、体内からコンディションを整え、健康を意識した食生活で、健康増進の秋といきましょう!
参考URL
厚生労働省・食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
厚生労働省・食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html